そのいびき、もしかしたら危険信号？睡眠時無呼吸症候群（SAS）のリスクとチェックポイント
パートナーの大きないびきに悩まされ、ご自身の睡眠が妨げられたり、パートナーの健康が心配になったりしていませんか。日常的ないびきは、単なる音の問題だけでなく、睡眠時無呼吸症候群（Sleep Apnea Syndrome: SAS）という病気のサインである可能性があります。SASは、眠っている間に何度も呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返し、体に様々な悪影響を及ぼす病気です。
この記事では、いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係、SASを放置した場合のリスク、そしてご自宅でパートナーの様子をチェックできるポイントについて解説します。
いびきと睡眠時無呼吸症候群（SAS）の関係
いびきは、眠っている間に空気の通り道である上気道（鼻から喉にかけて）が狭くなり、呼吸をする際に粘膜が振動することで発生する音です。疲れている時や、お酒を飲んだ後など、一時的にいびきをかくことは誰にでも起こり得ます。
しかし、常に大きないびきをかいていたり、いびきに混じって呼吸が止まる・乱れるといった状態が見られる場合、上気道が非常に狭くなっている、あるいは完全に閉塞している可能性があります。これが、睡眠時無呼吸症候群（SAS）です。SASでは、呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が浅くなる「低呼吸」が繰り返されます。
睡眠時無呼吸症候群（SAS）を放置するリスク
SASを放置すると、体に大きな負担がかかり、様々な健康リスクが高まります。無呼吸や低呼吸が繰り返されることで、睡眠中に体に取り込まれる酸素の量が減り、全身の酸素不足を引き起こします。また、呼吸を再開しようとして脳が覚醒するため、深い眠りが得られず、睡眠の質が著しく低下します。
これにより、以下のようなリスクが高まると考えられています。
- 生活習慣病の悪化や発症リスク増加: 高血圧、糖尿病、脂質異常症などのリスクが高まります。既にこれらの病気がある場合は、さらに悪化しやすい傾向があります。
- 心血管疾患・脳血管疾患のリスク増加: SASがあると、心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気、脳卒中（脳梗塞や脳出血など）を発症するリスクが高まることが分かっています。
- 日中の症状による生活への影響: 慢性の睡眠不足により、日中に強い眠気を感じやすくなります。集中力の低下、記憶力の低下、倦IVITY性の低下などを引き起こし、仕事や日常生活に支障をきたすだけでなく、交通事故や労働災害のリスクも高まります。
- その他: 夜間の頻尿、ED（勃起不全）などの症状が見られることもあります。
いびきを「寝息がうるさいだけ」と軽く考えず、これらの健康リスクにつながる可能性があるサインとして捉えることが重要です。
もしかしたらSASかも？パートナーのチェックポイント
ご自宅でパートナーの睡眠中の様子や日中の状態を観察することで、SASの可能性に気づくことがあります。以下のチェックポイントに当てはまる項目がないか、確認してみてください。
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睡眠中の様子:
- 大きないびきを常にかいている
- いびきに混じって、呼吸が10秒以上止まっていることがある（ご家族の方が気づくケースが多いです）
- 呼吸が止まった後、大きな呼吸やいびきとともに呼吸が再開する
- 睡眠中に何度も体がもがいたり、苦しそうにしたりする
- 夜中に何度も目を覚ます、トイレに行く回数が増えた
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日中の様子:
- 日中、我慢できないほどの強い眠気がある
- 会議中や運転中など、寝てはいけない場面でうとうとしてしまう
- 十分に寝たはずなのに、朝起きた時に熟睡感がない
- 起床時に頭痛がすることがある
- 集中力が続かない、以前よりミスが増えた気がする
- 疲れやすい、体がだるいと感じることが増えた
これらのチェックポイントに複数当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。
もし当てはまったら？次のステップ
もし上記のチェックポイントに当てはまる項目が見られる場合は、一度専門の医療機関に相談することを検討されてはいかがでしょうか。
「いびきがうるさい」「検査を受けてほしい」と一方的に伝えるよりも、「あなたの健康が心配だから」「一緒に安心して眠れるように」といった、パートナーを気遣う気持ちを伝えながら話を進めることが大切です。SASは治療によって改善が見込める病気であり、適切な治療を受けることで、健康リスクを減らし、日中のQOL（生活の質）を向上させることができます。
専門医は、問診や簡単な検査（自宅で行える簡易検査や、入院して詳しく調べる精密検査：ポリソムノグラフィーなど）を通して、いびきの原因やSASの有無、重症度を診断し、一人一人に合った治療法（CPAP療法、マウスピース、手術など）を提案してくれます。
まとめ
パートナーのいびきは、時に健康上の重要なサインである睡眠時無呼吸症候群を示唆していることがあります。SASを放置せず、早期に発見して適切な対策をとることは、パートナーご自身の健康だけでなく、ご家族の安心にも繋がります。
もしパートナーのいびきや睡眠中の様子に気になる点があれば、この記事でご紹介したチェックポイントを参考にしてみてください。そして、心配な場合は、温かい声かけと共に専門機関への相談を検討されてみてください。共に理解を深め、一歩踏み出すことが、より良い未来への第一歩となるはずです。